■織りの着物

普段着の着物の代表といえば紬です。紬は染めた絹糸を織るため、丈夫でしわになりにくく、表裏がないのでくりまわりもききます。仕立て直せばお母様、お祖母様だけでなく、お祖父様の着物をきることも可能です。代表的なものに結城紬、大島紬があり、他にも生紬、紅花紬、十日町紬、郡上紬などの生産される地域によって風合いの異なる紬を生産しています。お茶の席には結城紬が最もふさわしく、他の紬に比べて軽く、生地がこすれた時のシャリシャリという音がしないのも利点です。紬全体に言えることは、しわが気になりにくいのでお稽古の練習着として気軽に着て行けます。
また、木綿の糸を織った絣は久留米絣をはじめ多くの生産地があります。絣は生地がシャキッとして肌触りが気持ちよいので、単衣仕立てにしてもよいでしょう。現代の木綿の着物で最も親しみのあるものは浴衣です。柄も色も様々なものがあるので、年代を問わず選ぶ楽しみがあります。
夏向きの着物には麻の色を織った越後上布、宮古上布に代表される平織の上布や小千谷縮などの麻縮みのものがあります。麻の着物は盛夏の朝茶事などにふさわしい涼やかさがあります。
紬や絣は手間がかかり、希少価値があるものが多いので、年々価格も高くなっています。ですが、もともとが普段着としての着物なので、正式な茶事やおめでたい趣向の茶会には向きません。

 

■夏の着物

日本には四季があるため、礼装、準礼装といった格による区分の他に、季節に応じた装いがあります。7月8月にかけては薄物という夏の着物を着ます。絽、紗、麻などの生地があり、紗は盛夏に、それ以外は絽の着物を主に着用します。一つ紋を入れておけば、あらゆる茶事、茶会に対応できます。また、紗袷という紗と紗、もしくは紗と絽を合わせて仕立てたものがあり、これは単衣と絽の間の短い期間に着る贅沢な着物です。
地域や年によって機構が異なり、また近年は空調施設が整っていることから、厳密に何月何日から夏の着物を着る…という決まりがなく、臨機応変に対応することも必要となっています。基本的な組み合わせの変化を知ったうえで、過ごしやすい装いをするようにしましょう。

 

■着物上手になるコツ

着物や帯には季節の花などが描かれていることも多いです。そこにはそれぞれの季節を愛でる日本人の美意識が感じられます。だからこそ、季節外れの柄を着るのは野暮で、季節を先取りするのが粋と言われるのです。例えば、桜の時期に桜の柄の着物はぴったりですが、その地方の桜がまた蕾の時に満開の桜の着物を、着物が満開の時期には散り始めた桜の柄を、というようなちょっとしたことですが、少しだけ季節の先を行くことが着物上達への一歩と言えるでしょう。また、夏の装いでは涼しさを表現するために冬の風物で涼を誘う工夫をすることもあります。
また、着物だけでなく装いの格を上げるポイントは帯にもあります。織りの着物に錦などの袋帯では不釣り合いですが、帯合わせに迷った時には格調高い方の帯を合わせることをお勧めします。特にお茶の席では亭主側としてお客様をもてなす際には、少し格調高い装いを心がけるとよいでしょう。
そして、着物のコーディネートをまとめる役割をするのが帯揚げ、帯締めです。これらの色合わせも気が抜けません。着物や帯の中にある色から選び、帯揚げと帯締めを同系色でまとめると落ち着いた印象に、着物や帯とは異なる色合わせにするとはっきりとしたインパクトのある色になります。お茶席の場合はあまり色数を多くせず、上品さに重点を置き小物との取り合わせを考えましょう。